真夜中、突然の訪問者

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大家さんの上田さん(仮名)ご夫妻。

旦那様が認知症である事をまだ知らなかった去年のある真夜中。

誰かが、隣人のドアを開けようとしたりインターフォンを鳴らしていた事があった。

当時わたしは関西まで、姉や甥っ子姪っ子に会いに行っていたため、不在だったが・・・

「昨日の夜中の一時くらい、近所かどっかのおじいさんがすげえ酔っ払って隣の人の家を自宅と勘違いしてたみたいで、ドアをガチャガチャしたりインターフォン鳴らしてたよ」

そう彼氏から電話で聞かされたのだ。

「へー、そっかぁ。このへん似たようなマンション沢山あるもんねー、泥酔して間違えたんだねきっとその人」

わたしはのんきにそう返事したのを覚えてる。

わたしだったら迷いなく警察に通報していただろうなぁ、とも思った。

真夜中に知らない人がドアノブをガチャガチャ・・・

考えただけでも寒気がする。

しかし、そのドアノブをガチャガチャした人は、近所の酔っ払いではなく・・・

認知症の上田さん(旦那様)だったのだ。

当時、上田さんが認知症だという事を全く知らなかったわたし達は、真夜中隣人のドアノブをガチャガチャ回した方がまさか上田さんだとは思いもしなかった。

また、今年の春。

ある日の早朝、わたし達が住む二階のマンションの階段で座り込むご老人の男性がいた。

今思うと上田さんであるのは確かだろう。

・・・が、ドアの向こうから階段付近を覗いたところで認知症という事も知らなかった当時は上田さんだと分かるはずもなく・・・・・

その時は、隣人宅含め自分達のドアノブをガチャガチャ回されたりインターフォンを鳴らされる事はなかったのでそのまま放置した。

近所の酔っ払いのおじいさんが酔いざましに休んでるだけだ、そう思っていたから。

その日が暖かかったという事だけが救いだ。

漫画にも書いたが、情報共有って大切だなぁとしみじみ感じた。

旦那様が認知症である事をちゃんと知らされてよかった。

奥様に旦那様が真夜中や早朝、間違えてわたしの家に来た事を話すとものすごく謝られたが、わたしは当然の事だが迷惑だなんて一ミリも思っていないし電話して伝えたのはこちらもこちらも情報共有したまでだ。

奥様は、旦那様の徘徊が落ち着いたと思ってらっしゃったとの事だった・・・。

それにしても、今回一番驚いたのは警察署からの電話で詐欺師と疑われた事だった。

大家さんはわたしの携帯番号を知っているはずなので、あえて留守番にも残さなかったのだが・・・・・

色々驚いたりてんやわんやだったが、事件や事故など何もなくて本当に無事でよかった。

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