
給料日の1週間前、わたしは落ち込んでいた。
クレジットカードの引き落とし日に、きちんと間に合ったものの、カードを一時的に制限かけられ2週間使えない状況になってしまったのだ。
給料日前の金欠な状況のなか、1番あてにしていたクレジットカードを・・・。
自業自得だ・・・。
クレジットカードの引き落とし日が、ちょうど給料日の1週間前で、先月までの数ヶ月間、何度か間に合わない事があった。郵便局から貯金をおろせば引き落とし日に間に合ったのだが、わたしは怠けてそれをしなかった。しかし、引き落とし日に間に合わないと、例え2日や3日でも500円くらいの手数料が発生すると知り、慌てて郵便局から貯金の一部をおろし、今月からクレジットカードの引き落とし日に間に合うように余裕を持つ事にしたのだ。
支払い日は、必ず守ろう。そう心に誓った。
しかし、時はすでに遅し。
今月の引き落としには間に合ったものの、給料日前1番あてにしていたカードが一時的に使えない、この状況になったのだ・・・。
郵便局に貯金はあるが、もうこれ以上おろしたくない・・・。
そうだ!
初心に返って、無職だった頃のように節約をしよう。
結果的に、2週間クレジットカードが使えない状況になり、逆に大感謝することになる。
給料日までのこの1週間、節約することに大成功した。
改めて、自分のお金遣いの荒さを実感した数日間だった。
お金を使うことが、日々のストレスを発散するような感覚になっていたのだ。
カードも使えない、電子マネーも0円、現金も残りわずか・・・
そんな状況の中、給料日までの1週間をどう乗り切ったのか。
断捨離して、プレイしなくなったゲームソフトや、何年も読み返してない大量の本を泣く泣く売って生活費にかえたり、貯めたポイントを支払いなどに使ったり、散歩しても最低限の金額しか使わないと決めたりした。例えば、散歩中コーヒーを外で飲むのもストレス発散のひとつなのだが、普段はお気に入りのカフェで1杯650円のコーヒーを平気で飲んでいたが、節約中はスーパーのイートインスペースの自販機で120円の格安コーヒーを飲んだり・・・
ゆったり静かなカフェで飲むコーヒーも格別だが、スーパーのガヤガヤした賑やかな雰囲気の中、イートインスペースで飲むコーヒーも最高だ。
しかし買い物は、本当に必要な野菜や食料だけ購入するつもりが、お気に入りのお菓子だけはやめられない。最近毎日のように食べなきゃ気がすまない、生活志向のコーンチョコ。くせになる食感とおいしさ。朝、サラダを食べた後にこのコーンチョコを食べてから1日が始まる。

節約中も我慢できないくらい、好きなものがあったら仕方ない。
わたしはこのコーンチョコが我慢できなかったが、夫の場合は仕事後に飲む缶チューハイなどのお酒が我慢できなかったようで、節約中も買ってきていた。しかし、飲む本数は2本から1本に減らしたりはしてくれていたようだ。
そんな日々を過ごす中。給料日まで残りあとまだ数日というところで、急に銭湯に行きたくなった。
財布の中には、1500円くらいある。
「よし、行くか」
とわたしが意気込むと夫が
「えー行くの?」
と言葉とは裏腹に目を輝かせて言った。
「今日、わたしはサウナいいや。マッサージ風呂メインで肩のこり解消させるわ。サトちゃん(夫)サウナ入りなよ」
「うん、分かった」
サウナ好きのふたりだが、この日はふたりサウナに入るお金が足りず断念。
ATMにまだ引き出せるお金は残っているが、手数料かかるので意地でもおろしたくなかったのだ。
こんな状況を、わたしはなぜか楽しく感じていた。お金を大切にするって、なんだか楽しい。心が豊かになる気がする。
お気に入りの銭湯で、知らないご年配のご婦人にまた話しかけられて(また、と言うのは銭湯で知らない方に話しかけられる率が日頃からかなり高いのだ)ほっこり癒された。
この日の会話は、わたしが水風呂につかっていると、ご婦人が
「寒くない? なかなか入れないわ〜」
と水風呂の中で棒立ちのまま、満面の笑顔で話しかけてくれたのだ。
ご婦人の笑顔、素敵だったな。
銭湯以外にも、わたしと夫は大のお酒好きで休日は居酒屋をはしごすることもよくあるのだが、節約中は1杯目55円のよく行く居酒屋で飲んだりした。その居酒屋は、2杯目からは通常料金なので、この日お酒1人2杯ずつとおつまみ2人で2品という、普段ならあり得ない頼み方で短時間飲んで食べてサッと退店。
2人で2千円にも満たないお会計に、あまりにも安過ぎて申し訳なくなり
「ごめんなさいね、給料日前で安く済ませてしまって(苦笑)」
と優しい店員のお姉さんに謝ってしまった。
お姉さん、「いえいえ」と、にこっと満面の笑み。優しい・・・。いや、本当は苦笑いしてたかもしれないけど(汗)終始にこにこしてとっても元気で素敵な店員さんでした。

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休日、夫婦ふたりで外出したら外食だけでも1日2万円以上使うことも多いのに、この日は2千円未満。桁が違うし、安すぎるし、満足。給料入ったらまた必ず来よう。今度はたくさん飲んで食べます。
そしてとうとう給料日前日。1週間節約生活の最終日でもある。
この日は、夫婦ふたりの休日でもあった。
夫が得意げに
「◯◯信用金庫に残高1万円ある」
と言っていたのを頼りに、電車乗って◯◯信用金庫の1番近い支店まで向かった。
ふたりで電車賃往復700円くらい。
キャッシュカードがなく、通帳しか持っていなかったので◯◯信用金庫まで直接行くしかなかったのだ。(探せば他に方法あったのかもしれないが)
1万円もあったら何ができるだろう。
何しようか。
何食べようか。
夫はこの日映画『ひゃくえむ。』を観たい、とはりきっていた。しかし、空いてる席が夫的に微妙だったらしく、違う日にすることにしたのだが、そもそも実は映画どころの話ではなかった。
まさか、この後、あんな展開になるなんて・・・。
電車を乗る前から、◯◯信用金庫に行くまでの途中、夫は少し不安そうだった。
「1万円入ってるって言ったけど、本当に入ってるかな・・・」
「ええっ(笑)」
思わず笑うわたし。
「もしかしたら、昔の携帯の支払いとかで引き落としされてたら残ってないかもしれない」
青ざめる夫。
「まーいいじゃん。行ってみて残高全然なくても、電車乗って散歩したと思えば楽しいよ」
一か八か。どっちに転んでもいいではないか。
この1週間、節約生活を自分達なりにして、お金があまりない中で工夫することが相変わらず楽しく感じていた。
節約中の最後らへんの2日間は、お金がなさすぎる状況のなか、なぜか夫と笑い合うことも増えた気がする。
そのちょっと前まで、喧嘩ばっかりでうんざりしていたのが嘘みたいだ。
わたしは、贅沢できない状況の中で一緒に夫がいろいろ工夫してくれて、笑ってくれるのが嬉しかった。
この穏やかな空気がずっと続いたらいいのにな。
楽しい気持ちで、◯◯信用金庫に到着。
夫が通帳と印鑑を持って、窓口へ。
わたしは、近くで椅子におとなしく座って待つ。
少ししたら、銀行員の方が
「・・・95円・・・・・」
と言ってるのだけ聞こえた。
95円!?
その前後の会話は聞き取れなかったが、耳に95円という言葉だけはっきり聞こえたのだ。
窓口から、夫が笑いながら戻ってきた。その笑みの中に、ちょっと気まずさがあるのをわたしは見逃さなかった。
「どうだった?」
わたしがすかさず聞くと
「後で言う(苦笑)」
と、今すぐその場(◯◯信用金庫)から立ち去りたい様子だ。
「・・・残高95円だったんでしょう(笑)」
わたしが、ぼそっと言う。
「・・・うん・・・・・。おにいさん(銀行員の方)もなんか笑ってた気がする(笑)」
「あはは!」
大爆笑のわたし。
財布の中にはふたり合わせて使えるお金が500円くらいしかない。
電車賃で完全にマイナスになってしまったが、これも事前に夫から聞いていたので想定内?
しかし、まさか95円とは(笑)
3千円くらいあるといいねーと話してたので、予想を上回る展開がおもしろかった。
◯◯信用金庫に行くために初めて降りた駅だったので、新鮮で楽しかった。◯◯信用金庫近くの街の雰囲気はわたしの大好きな昭和のかおりがする古き良き建物やお店が多く、来れて良かった。
「電車に乗ってちょっと豪華な散歩をしたと思えばいいね」
わたしが言うと、夫はまた笑った。
その後、夫がトイレ行きたいと言うので駅に行く途中にあったコンビニに寄った。
「なんか買わなきゃいけないんでしょう?」
夫がわたしに聞く。
これは、夫に強制してるわけじゃないが、わたしはコンビニでもしトイレを借りたら何かペットボトルのお茶1本でも買わなきゃ申し訳ない気持ちになる。なので、こんな時いつもなら「ついでに◯◯買ってきて」と夫にお願いしてお金を渡すのだが・・・
「今日は仕方ない。いいや」
とあきらめた。
しかし、夫はこのコンビニのコーヒーをなんと月に数回無料で飲める特典を利用できる会員カードを持っており、トイレを借りた後、無料のアイスコーヒーを片手に持って戻ってきた。(通常月額550円の会費だが、携帯支払いの月額コースに入っているらしい)
このアイスコーヒー1杯をふたりで仲良く飲み干す。
「無料でトイレ借りて、無料でコーヒー飲めてありがたいな」
夫が感謝を口にする。
「本当だねー」
またふたりで笑う。
1万円おろして、散財する予定が大幅に狂ってしまったが、この後家に帰って再び断捨離して本とゲームを売りに行った。
その売ったお金と日々の買い物などで貯まった楽天ポイントが使えるバーミヤンで飲むことに。
なんて贅沢な休日だろう。
給料日前日前とは思えない。



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持ち金を気にしながら、オーダーするの楽しかった。節約楽しい。わたしは20代前半の頃、ニュージーランドのワーホリから帰国後、相当極貧生活をしたことがあった。なぜか分からないが、あの頃の質素な生活を思い出すと心あったまる。おかしいのかもしれない。
お金はあまりなくても、心は豊かでありたい。
バーミヤンを出た後は、まだ少しお腹が満たされずマクドナルドへ。

現金が残りわずかすぎたので、夫とそれぞれの交通カードで会計分けて購入。交通カードもこれにて残高ほぼない状態に。
「あーおいしい」
マクドのチーズバーガーが昔から大好物なのだが、今も変わらない。
ああ、この日記書きながらお腹が空いてきた。
マクドでゆったりコーヒー飲んでリラックスして、その後家電量販店寄って家電量販店で利用できるポイントあったけど何も買わずにでて、帰る前にスーパーでお酒1本だけ買った。

なんと、この1本を購入してふたりの財布の中が完全にゼロになったのだ。
給料日前の節約生活のシメがこの缶チューハイ1本。輝いてみえる・・・。
この1本を帰り道、ふたりで飲みながら帰宅した。最高すぎる1日になった。
「明日、給料入るけど毎月いくらまでしか使わないって決めて、節約しようかな」
わたしが言うと
「そうしよう! 貯金増えるね!」
と夫。
ちょうど、先月夫の借金が完済したので(この話はかなり重たいので、別の機会に書けたら書きます。夫の了承は得ております)改めて、お金を大切にしなきゃなぁと痛感した。
ああ、節約生活楽しかった。
お金は大切に、心豊かに。
これからも、頑張ります。
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